大規模災害が起きると、通信インフラの被害などで、離れた場所にいる家族などの安否確認ができないことが多くなります。
そのような場合のために、基本的には『災害伝言ダイヤル』やインターネット経由の各種SNSを利用しての安否確認方法を、家族などと打ち合わせておくのが効果的です。
デジタルは混雑に強い
災害時には、通信インフラが無事でも、特にアナログ音声通信による安否確認が困難になります。
その理由は後述しますが、そんな場合でもインターネットなどのデジタル回線、特にメールやSNSなど文字通信は通じることがあります。その大きな理由のひとつが、デジタル回線はアナログ回線に比べて通信容量がとても大きいということ。
アナログ音声通信は、通信中は1回線を独占してしまいますが、デジタル回線では、信号を細かく分割して時間差で送信する『タイムシェア方式』によって、ほぼ同時に多数の通信ができるのです。このため、災害時に激増する通信トラフィックにも対応しやすいというわけです。
ですから、確実な安否確認のためにも、インターネット経由の連絡方法、具体的には各種SNSを利用した通信手段を何種類か、家族などと打ち合わせておくと良いでしょう。
しかし、お年寄りなどインターネット通信に対応できない人も少なくありません。そんな人でもできる、音声通信による安否確認法もあります。
外からはつながらない
大規模災害が起きると、被災地の外から被災地内の家族っや知人などの安否確認をしたい、できれば声を聞きたいという意識から、固定、モバイル共に、被災地向け電話の発信が激増します。
しかし、特に発災直後からしばらくの間は、仮に被災地の通信インフラが生きていたとしても、音声通話は滅多につながりません。
これは、通信トラフィックの激増による通信機器の障害を防ぐために、キャリア(通信会社)によって意図的に被災地向け通信の発信規制が行われるからです。東日本大震災直後には、通信インフラが生きている被災地向け音声通信の95%が規制されたケースもあります。
中からはつながりやすい?
これに対し、被災地の中から外へ向けての発信は、相対的に発信量が少ないために大幅な発信規制がかからないことも多く、通信設備が被害を受けていなければ、外からの通信に比べて比較的つながりやすいのです。
通信設備が被害を受けていても、人口集中地域などには優先的にモバイル回線の移動基地局車が配置されますので、かなり限定的ではありますが、比較的早い段階で通信回線が確保されることもあります。
しかしこの場合でも、被災地内同士の通信は大幅に規制される可能性が高く、例えば仕事先の家族などとの音声通信は、まずできないものと考えておくべきです。
誰でもできる安否確認法
このような状況を利用した、音声通信による簡単な安否確認方法があります。この方法ならば、メールやインターネットに詳しくない人でも大丈夫。ただし、事前の打ち合わせが必要ではあります。
それは、自分の居住地からできるだけ離れた場所の親戚、知人などと、お互いに”安否情報集約拠点”になることを決めておく方法です。どちらかが被災したら、もう一方が拠点となります。
被災地内同士の家族などとの連絡がつかなかった場合には、皆が被災地外の”安否情報集約拠点”へ自分の状況を連絡し、同時に他の安否情報を受け取るのです。
この方法ならば、電話の発信さえできれば、早い段階で誰もが確実に安否確認ができますので、インターネット経由による方法のバックアップとしてもお勧めです。
難しい打ち合わせは必要ありません。ただ、「直接連絡取れなくなったら○○さんに連絡して」だけなのです。