ドローンによる災害支援と、注意しなければならないその弊害

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近年、誰でも簡単に飛ばせる小型ドローン(遠隔操縦式または自律式の無人航空機。以下ドローン)の話題を目にすることが増えました。

災害時にも有効?

災害時におけるドローンの最大の強みは、人が入れない場所や危険な場所などの空撮や情報収集が安全にできることです。このため、国土交通省など行政でも災害時の被害状況把握などに利用されています。また、災害時のドローン活用促進を目指す民間企業や団体もあります。

しかし、どこでも誰でも飛ばせる訳ではありません。ドローンの飛行には航空法が適用され(機体本体+バッテリー重量が200g未満のものは除く)、例えば空港等の周辺、高度150m以上の空域、人口集中地区の上空、目視範囲以外、夜間などは、特別の許可を受けた場合以外は飛行禁止となります。

災害時には上記の規制が適用されない場合もありますが、その場合でも『国や地方公共団体、また、これらの者の依頼を受けた者が捜索や救助を行うため』に限られます。ですから災害時でも、例えば住宅地上空などを個人が自由に飛行させて、撮影や情報収集などをすることはできません。

また、ドローンから物を投下することも禁止です。救援物資などを運搬する場合でも、基本的には操縦者の目視範囲内に着陸できる条件でなければなりません。

災害時の特殊な条件

航空法によるドローン規制のうち、高度150m以上が飛行禁止とされているのは、平常時に小型飛行機やヘリコプターなどとの衝突を防ぐためです。

しかし、大規模事故や災害時には、捜索や救難のためにヘリコプターが超低空まで下りてきます。その場合、その空域の低空にドローンの飛行が確認されたら、そのドローンが確実に着陸したか空域から退去したかが確認できなければ、衝突の危険ありと判断されてヘリコプターは空域に進入できません。

事実上、ドローン一機の存在で数平方キロメートルの低空域が閉鎖されてしまいます。仮に、ドローン操縦者がヘリコプターを見てすぐにドローンを着陸させても、それをヘリコプター操縦者が確認する方法が無いのです。

このような事態は、我が国ではまだ起きていませんが、アメリカでは山火事の現場で所属不明のドローンの飛行が確認され、ヘリコプターや消防飛行機が何時間も現場空域に進入できなかった、すなわち消火活動ができなかったということが、実際に起きています。

このようなことを起こさないために、特に発災直後で捜索や救難が活発な場所や時間帯では、航空法の規制範囲内でも、個人によるドローンの飛行は厳に慎むべきでしょう。

仮にヘリコプターが見えなくても、例えば地上部隊から無線で「空域にドローン確認」と連絡を受ければ、ヘリコプターは進入できなくなるのです。

どんな利用方法があるか

災害時における個人によるドローン利用法で誰でも思いつくのは、逃げ遅れた人の捜索でしょう。地震災害はもとより、地上の移動が困難になる水害時には、特に威力を発揮しそうです。

しかし、夜間や目視範囲以外は飛べないこと、仮に大半の人が避難した後でも、住宅地上空はあくまで『人口集中地域』であり飛行禁止であることを考えれば、現実的ではありません。

しかもそんな状況では、ヘリコプターの超低空飛行が頻繁に行われるでしょう。そんな時や場所で、個人がドローンを飛ばすべきではありません。

現実的には、郊外、山間部などで道路や橋などの損傷状況、崖崩れや地滑りなどの兆候を調べたりする場合に、その威力を発揮しそうです。大きめのドローンならば、例えば落ちた橋の向こう側へ、物資を届けることもできます。

この先、さらなる研究と性能向上で、利用範囲もさらに広がって行くことは確かだと言えそうです。



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