大災害は、家族が一緒の時に起きるとは限りません。そんな時はできるだけ早く家族それぞれの状態を確認し、集合することが必要です。そのためには、普段からの打ち合わせが大きくものを言います。
【優先行動を決めておく】
大地震が起きた時は、一刻も早く離れている家族の安否を確かめたくなります。しかし高い確率で通信が混乱しますから、しばらくの間は連絡が取れなくなると考えなければなりません。
通信がさらに混乱するのを防ぐために、そして携帯電話などの電池の無駄な消耗を防ぐためにも、無闇に発信するべきではありません。
現代は電話のほかにもメールやSNSなど様々な通信手段がありますし、災害伝言ダイヤルなどもあります。しかし発災後しばらくは、すべて使えないと考えておくべきです。特に大都市圏では、仮に通信インフラが生きていても、膨大な通信が集中することによる障害が起きる可能性も大きいのです。
そこで大切なことは、家族それぞれが取る行動を、普段から打ち合わせておくことです。
例えば
会社や学校に行っている人は基本的に出先で待機、交通機関が回復したり、徒歩移動が安全になってから移動をはじめる。家にいる人は、自宅が危険ならばまず○○避難所に移動し、そこが危険ならば××避難所へ、その際には自宅に行き先を張り紙で残すなどと決めておきます。
そのように優先順位を定めた行動を決めておくことでお互いの行動が予想できますから、連絡が取れない間の不安が小さくなるだけでなく、あちこち探し回るなどの無駄な行動を減らして、家族が再集合するタイミングを早めることができるのです。
通信手段も、例えばメール→LINE→twitter→災害伝言ダイヤルというように連絡する優先順位を決めておけば、連絡の行き違いを防ぐことができます。
家族が近くにいる場合には
大地震が起きたらまず自宅に集合、それが危険ならば○○避難所のどの辺りに集合などと決めておきます。広域避難場所に指定されている河川敷や大公園、大型施設などでは、集合場所の目印を決めておかないとなかなか出会えないでしょう。 一時的な避難場所の場合は、家族を待つ時間は○時間まで、それが過ぎて安全になったら○○避難所へ移動などと細かく決めておくことで、行き違いの可能性が減らせます。
もし事前の打ち合わせと違う状態、例えば集合場所に来ない、無人の自宅に行き先が残されていない、通信が全面的に回復しても連絡が無いなどとなったら、それができない状況が起きた考えて、すぐに次の行動に移ることもできます。
【通信の裏技】
大地震が起きると、通信インフラが完全にダウンしなくても外部から被災地域向けの通信が集中しますから、発着信規制がかかったり、ネットの通信速度が極端に落ちたりします。
そんな場合でも、被災地域から外部への発信は比較的通じやすいことも多いのです。ですから遠隔地、例えば実家、親戚宅、友人宅などを家族の連絡拠点として決めておき、そこへ皆が連絡するよう打ち合わせをしておけば、直接連絡を取り合うよりずっと早くお互いの状態がわかることもあります。
さらに、もし海外の電話やメールがつながりやすい場所に連絡拠点を作っておけるならばとても有効です。回線が生きていれば。国際通信に発着信規制がかかることはまず無いからです。
【意識の共有と信頼が大切】
東日本大震災後に、三陸地方に伝わる『津波てんでんこ』という考え方が注目されました。津波が来ると他を助けに行く時間は無いから、皆がてんでんばらばらに自力で避難せよということですが、その前提となるのが、津波が来たら皆がそうするという意識の共有であり、それぞれが生き延びるために最善を尽くしているはずという相互信頼です。
この考え方は津波に限らず、大災害で離れ離れになった家族にもそのまま当てはまるのです。