災害で子供が傷つくのは、親にとって耐えがたいことですね。そこで、子供の安全のために、やらなければならないことがあります。それには、ふたつのポイントがあります。
安全な環境をつくる
最初のポイントは、特別なことではありません。それは、家の中を安全にすることです。
もし子供があなたの腕の中にいても、家の中が危険だらけだったらどうでしょうか。子供の命は自分の命にかえてでもと思うのが親心ですが、そんな気持ちだけではダメなのです。まずあなた自身が無事でなければ、お子さんを救い、守り続けることはできません。
そこで必要なのは、家の中の危険を徹底的に取り除くこと。それは誰より子供のためと言っても過言ではありません。
いちばん大切なのは、建物の耐震補強です。でもそれが既にできていたり、すぐには難しい場合は、とにかく子供とあなたの身体に危害を及ぼす要素を、家の中から取り除くのです。
大地震の場合、最初の1分を耐え抜けられれば、多くの場合で生き延びることができると言われています。そこで身動きできなくなれば、その後の津波や火災から逃げることもできませんから、まず最初の1分で何が起こるかを知り、そこでの危険を小さくします。具体的には、主に下記のようなことです。
お金も手間もそれなりにかかりますが、これらはすべて過去の地震災害で実際に多くの人を傷つけ、命を奪った危険を小さくするために必要なことです。
特に、子供部屋の対策は厳重に。それ以前に、背が高い家具や重いものをできるだけ置かないことが大切です。さらに頑丈な勉強机、二段ベッドやロフトベッドがあれば(頑丈な木製がおすすめ)、家屋の倒壊から子供を守る強力なシェルターになります。
机の下やベッドの中にレスキューホイッスルやライトなどを備えておけば、逃げ込んだ後に落ち着いて救助を呼ぶこともできます。ベッドの下などに、飲料水や非常食料を備えておくのも良いでしょう。
考えさせて、教える
もうひとつのポイントは、子供が自分で判断して行動する力をつけることです。
子供が幼稚園や学校へ通うようになれば、いつも一緒にいることはできません。家の中でも、近くにいないことが増えます。でもそのくらいの歳になれば、おそらく親が考える以上に、自分で考えて行動できるはずです。
そのためには、まず正しい防災知識を教えなければなりません。それは言うまでもなく、まずあなたが正しい知識を持っていなければならないということです。
教える時は、通園、通学経路や家の中などで、そこにいる時に大地震が来たら、津波や火災などの二次的災害も含めて何が起きるか、どうすれば良いかを、まず子供自身に考えさせます。間違えても、決してしかってはいけません。
その上で子供と一緒に危険を考え、調べながら『逃げ方』を教えるのです。
なお、地震時に屋外で特に危険なのは、壁、自動販売機、電柱などの倒壊、ガラスや外壁材の落下などです。その他にも、子供ならではの視点に、大人が教えられることもあります。
家の中ではどこが安全かを教え、どこにいたらどうすると一緒に考えて、実際に動いてみます。
残念ながら、ここでは具体的な行動を紹介することはできません。それぞれの条件によって、行動も変わるからです。でも一般的には、玄関の構造が比較的頑丈で危険物も少なく脱出しやすいので、最初に移動する場所としておすすめと言えます。小さな地震が起きた時でも必ず、避難行動の“予行演習”をしておきましょう。
本当に大切なこと
このような対策が、大地震から子供を守るために大切なことです。しかしそれ以上に大切なのが、あなたのいちばん大切な存在であり、絶対に生き延びて欲しいということを、普段から子供に伝えることです。そして、子供の能力を信じるのです。
親の本気と信頼は、必ず子供に伝わります。そのことが、子供が不安や恐怖に打ち勝ち、大災害から生き延びる力を伸ばすはずです。