世の中の半分は女性です。防災対策にも女性ならではの、女性のためのやり方があります。
【防災は男性目線?】
公共の防災対策は、どうしても男性目線になりがちです。もっとも、発災直後の危険を避けるには男性も女性もありません。でもそこから先で、特に女性が不自由を強いられることも多いのです。
1995年に発生した阪神・淡路大震災の頃は、防災備蓄や救援物資に生理用品さえ十分ではありませんでした。近年はかなり改善されたとは言え、まだ十分とは言えません。女性自身が備えておくことが必要です。
【発災直後のために備えること】
靴の問題
女性の場合、大地震、津波などからの緊急避難や帰宅困難になった時、一番問題になるのがハイヒールや厚底靴。普段そのような靴を履く方は、出先にスニーカーなど歩きやすい靴を必ず用意しておきましょう。 大げさではなく、災害直後には靴ひとつが安全を大きく左右することもあるのです。
入浴中の対策
入浴中の地震が不安だという女性も多いかと思います。裸で飛び出すわけにもいかず、子供も気がかり。でも激しい揺れと停電して暗闇の中、身支度に手間取って逃げるタイミングが遅れたら。
そこで、とにかく短い時間で避難できるように、脱衣所にはまずライトを。壁掛けの自動点灯式で、外して持ち出せるタイプがおすすめです。さらにすぐ羽織れる厚手のガウン、吸水性の高いタオル、スリッパやスニーカーなど最低限の脱出用品をまとめて用意しておくと良いでしょう。下着類や化粧水なども、避難時専用のものをポーチに備えておけば、とりえあず持ち出して後から身につけることもできます。
このような備えはすばやい避難のために役立つのはもちろん、普段からの安心感にもつながります。必要に応じ、子供用のセットも備えておきましょう。
【避難所生活になったら】
ここから、本当の“男女差”が出てきます。実際に被災した女性の声から、備えておきたい主なものを挙げます。
まず、必ず必要になるもの。非常持ち出しの中に入れておきましょう。
必須用品
最低でも1周期分。洗える環境があれば、再利用できる布ナプキンも便利。避難所での支援物資配布は男性のことが多いので、女性用品を受け取る際のストレスが大きいことも。
替えが無い時のために、紙製下着やパンティライナーを。
特に発災直後、女性のトイレ問題は男性より過酷。無理に我慢して膀胱炎やひどい便秘になった女性も少なくない。少しでも快適にするために。
プライバシーが保ちづらい避難所での着替え用に、透けない素材の大型ポンチョが目隠しに便利。もちろん雨具としても。
可能であれば準備しておきたい
次に、できるだけ備えておきたいもの。ストレスの大きな避難所生活で、女性として前向きな気持ちを保つために役立ったという声が多いものを挙げます。
入浴できないので無水シャンプーは必須。ヘアブラシと、カチューシャ、シュシュなど髪をまとめるもの。
ウエットコットン、クリーム、化粧水、リップクリームなど汚れを落として乾燥を防ぐもの。
下着類などの目隠し、収納に便利。洗濯ができるようになれば、干す際の目隠しにも。
髪覆い、マスク代わり、防寒、授乳時の目隠しなど多用途。せめてものおしゃれにも。
避難生活では栄養が炭水化物に偏り、ビタミン類が不足しがち。ひとつ用意するなら、各種ビタミンを配合したマルチビタミンタイプを。
少し余裕ができた時、飴やお茶がとても心を休めてくれる。
好きな本は厳しい現実から目をそらせ、力を与えてくれる。
【男性も考えて欲しい】
大災害を生き延びるためのハード面だけでなく、このようにソフト面でも備えることが、過酷な状況の中で身体と心の健康を保つことにつながります。
男性も、女性ならではの必要性と気持ちへの配慮をぜひお忘れなく。そして、手を取り合って危機を乗り切りましょう。